2006-01-01から1年間の記事一覧
俺はいまパリでこのブログを書いている。 パリは喧騒の街である。 しかしいま俺がブログを書いているモンパルナスの伯母の部屋には、伯母の低い唸り声が鳴り響くばかりだ。 伯母は骨の癌に罹っている。 日本ではそれほど有名ではないが、ヨーロッパは骨の癌…
って、別段、この季節、獅子舞なんぞ舞っていない。 今日見た、夢の話である。 どういうわけだか、3ヶ月に一度くらい24時間寝てしまう日がある。 原因はわからないのだが、たいてい月曜日に発現しやすく、そんな日は何があっても決して起きることはない。 そ…
「 月曜日は最悪だというけれど、火曜日だって負けじとひどい 」なんていう歌があるそうだ。 しかしこちとら5ヶ月の認知療法を終えたばかりで、月曜日だろうが火曜日だろうが、もう何かやりたくってうずうずしている。だが実際のところ、家でごろごろしてい…
それは突然起こる。 ビアサーバーがビールを出す機能に致命的な痛手を被る。 新しいビアサーバーを業者が取り付ける。新旧が交代された。 結果として、オレは決定的に損なわれた。 オレが、だ。 二度とビアサーバーは一万円の価値を吐き出さなくなった。 オ…
ビールについての考察 不思議な飲み物である。 ちょっと飲むとアッパーに効く癖に、だいたい飲み過ぎてしまい、結果、ダウナーな感じになって、最後に安っぽい二日酔いが待っている。 まるで、訳がわからない。 だいたいに於いてアッパーな効き方をする物質…
たしかに、どんなことにも、才能はある。 走るのが速いのや、泳ぐのがうまいのがいるように、ビールを完璧に注ぐ才能というのはある。 松本人志や村上春樹が存在しているように。 どうやら ――― というのは、自分ではそのことがよく認識できないからだけど ――…
「一万円、でございます」客から札を受け取ると、ビールを注ぎにバースペースへと向かう。足元の冷蔵庫からグラスを取り出し、ビアサーバーにセットする。 ビアサーバーはとても古いもので、世界に10個も現存していない、とエレコムは説明した。「実際的には…
トンネルを抜けました。 欝、パニ症、不眠症。 長かった病の日々も秋の訪れと共に、姿を隠したようです。 電車にも乗れるようになったし、夜もぐっすり眠れる。気がやたらと滅入ることもなくなった。 このまま永遠に彼らとはおさらばできたらな、と思うので…
はりゃりゃ、残念である。 何がって「村上春樹氏残念、ノーベル文学賞逃す」の報。 マスコミがこれほど騒いだのだから(とりわけ報知は)、氏はさぞ疲れたのではないだろうか。 お疲れさまです、と言いたい。 不謹慎な話だけど、落選の報を受けて妙な期待感…
秋晴れ、笹の葉が揺れて、音一つなく 煙草の煙 ゆらりゆらり 「 ほら、この景色、見てごらん 」 映画のワンシーン(陳腐だなあ)みたいな、透き通った空に吸い込まれていく煙草の煙が、ゆらりゆらり 幸せです
女が見える。 肩まで髪をのばした、女。 うなじのちょっと下から腰まで、エイリアンの刺青が入っている。白い肌に黄緑と黒で描かれた異物の瞳は無機質で、それがとても女に似合っていると思う。 首筋の汗をタオルでぬぐいながら女がベッドから立ち上がり、ヨ…
刺し込むような痛いだ。 ウィスキーを流し込む・・・・、もちろん、もっと痛い、だ。 紙やすりで擦ったように、焼けて、焦げている。 ああ、胃が痛み。チリチリと痛み。 フィルターの焦げるにおい、灰皿から煙が。 煙草なんて、吸っていいはずもない。でも、…
さいきん目が覚めると朝の6時である。たいてい閉め忘れたカーテンから差しこむ光でまぶたが開く。 昼夜逆転だった生活も是正されつつあるみたいだ。 ちょっと。 ほんとうに、ちょっと前まで。 ボクは暗闇の中で目覚めていた。暗黒の日々というやつ。そんな時…
ずいぶん前の話になるけど、別れたガールフレンドに再会した。そのときボクは新しくできた吉祥寺の紳士服店でネクタイを選んでいるところだった。 元気?■◎ちゃん、と付き合っているとき呼んでいたあだ名で声をかけた。彼女は急に不機嫌そうな顔をして、その…
ネオバスに乗るのはひさしぶりだった。中村泰樹は二日前に電話で座席を予約した。 「船着場までは通常一時間半で着きますが、政府による検問にまきこまれる恐れもありますから二時間から二時間半みていただくほうがいいと思います」 電話口でコーディネータ…
昼の11時に目を覚ますと、外出の準備を始める。昨日は早めに仕事が終わったので、睡眠時間は実に14時間!ちょっとばかし、こめかみが痛む。過剰な睡眠摂取 ――― 心労の原因は、過重労働のせいだ。きっと、そうだ。 顔を洗って、髭をあてる頃には、頭痛は嘘の…
★ I always find myself lacking in communication skills. ☆ 私にはコミュニケーション・スキルが足りないといつも思います。 ■本当に足りない人と思っている人は、使わないほうがいいです。
★ Please feel free to contact me if I can ever be of help to you. ☆ お役に立つことがございましたら何なりとご連絡ください。 ■ 誰かのお役に立つのは、ほんとうに難しいですね。
ミスタードーナッツを曲がって、コンドームが捨てられている細い並木道を抜けると、何軒だかまとまった数の飲み屋らしきボロい家屋が、うなぎの寝床のように続いている一角にでる。 「まさか、ここいらのどっかの店で、バーテンでもやれってんじゃないよな?…
ボクが通っているクリニックは石神井公園にあるのですが 待ち時間がとっても長いです。 先生が二人いる時でも、1,2時間はざらで、今日なんて朝の9時から並んで 薬をもらったのが夕方の4時です。 みなさんも同じくらい待たされていますか? それでいつも困…
精神疾患にかかる人は、まじめな人が多いという。 自分を見つめなおしてみるに、そんな気配すら感じることができません。 時間にはルーズだし、大切な約束すら守れず、ルールを遵守するのが嫌いで いつも集団からはみ出してしまう。 はみ出したらはみ出した…
成田空港に着くと、トイレに入ってトランクを開ける。 「おい、生きてるか?」 ペンギンはタオルに包まったまま、すやすやと寝ていた。寝息が魚臭い。昨日食べた鰯のせいだろう。 ペンギンの指図で日本に帰ってきたオレ(とペンギン)。は、とりあえず赤坂の…
3月3日 22時頃。 暖簾をくぐって引き戸を開けると左右にまっすぐ屋台が並んでいる。 一昔まえに流行った屋台村だ。 高校の卒業式を終えたオレは、同じ高校を卒業した女と飲みに出かけた。 女とオレは付き合い始めてちょうど半年位だった。 繁華街がある駅の…
岐路 ―――― 本通りから分かれたわき道。横道。 3月4日。4時ごろ 淡いブルーに染まった早朝、東海道線が通る線路から100mも離れていない、小学校の前。 一台の自転車が倒れている。 電信柱にぶつかって砕けたライト、倒れたはずみで皮製のサドルはアスファルト…
最近、特にこれという理由もなくレイモンド・チャンドラーの小説をよく読む。 たまたま近所のBOOK OFFで100円で購入できる機会に幾度か恵まれたことがきっかけだけれど、 実際に触れてみるといわゆる探偵物やハードボイルドがこの作家を端に発していることが …
ペンギンはオレに向かって毎夜何かの教訓話をたれる。 「いつか、君に言ったと思うのだけど」と毎晩似たような講釈をたれる。 「こんなによくしゃべるペンギンに会ったことがないよ」あきれて、こう答えるとペンギンは決まってこう返す、君はいままでしゃべ…
「君はつまり、想像と妄想の相の子というわけだな?」 オレはペンギン相手にウィスキー・コークを飲みながら訊いてみる、それとなく。 「言葉に気をつけやがれ、このご都合主義野郎」 2日前に買ったビーフジャーキーをものすごい勢いで食べながら、勝手気ま…
二通の手紙に目を通してから、オレはまぶたを揉んだ。 目玉が親指の動きにあわせてブニブニと形を変えるのがわかる。 やれやれだぜ。 オラオラ千発を食らわせてやりたいと思ったが、目の前にいるペンギンはそれほど悪そうにみえない。どちらかというと、従順…
エイミーの2通目の手紙 「マザーふぁっカー、元気かよ? あたし?あたしは元気だよ、肉体的も精神的にもね、昔抱えていたトラウマ的な観点でみても、あたしは元気さ。 夫とは別れて今は香港に住んでいるの。 ここはフィリピン人とアフリカ人がいなかったら、…
エミリーからの手紙 「ハイ、ヤス、元気にしてる? 私はいま、東京の府中にあるマンションで、夫と二人の子供と生活してます。 ここでの生活は、あなたと過ごした伊豆での生活と較べると、いささか味気ないものです。生活に不安などかけらも見られませんが、…