2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

the 14th story ~ 敢えて上へ~

赤貧という言葉が象徴しているように、貧乏とは 擦り切れて、血が滲む、靴擦れ。 靴に慣れるか、新しい靴を買うために働くか・・・。 男は貧乏をそんな風に考えていた。結局、いつかは換えなくてはならないのだ。 なぜなら、足は日増しに大きくなっていくか…

the 13th story ~ 歌うネコ ~

ある晩のことだ。 少年は悩んでいた。 遠距離恋愛をしていた彼女から 実に六ヶ月振りに、手紙が来たのだ。 少年は悩んだ。なぜなら彼にはもうすでに新しいガールフレンドがいるからだ。 しかし、手紙。開けずに捨てられるほど、少年は大人ではなかった。 12…

the 12 story ~ 聡明さ争い ~

人の死というのは悲しいものだ。 小学校の時一度同級であっただけの者であれ、それは等しく悲しい気持ちを抱かせる。 そして親しい者が逝った時、 「Live forever」と声高に叫んでも、もちろん、何の解決にもならない。 カトウの訃報を聞いたマイコは、ナガ…

羊的回想 その3

窓からコツコツという控えめな音がした。 暗闇で目を覚ますと羊は枕元の腕時計に目をやる。 蛍光塗料が鈍い黄緑色を蛍みたいに光らせていた。 2:19 ふぅ、まただ。 羊はこのところ、2:19に悩まされていた。 2:19 2/19 二月十九日 羊の誕生日だ。 この寮に越…

夕刊セックスとは

真夜中(午前2時ごろ)に、墓場で女性にハーモニカを吹かせながら セックスをすることである。

羊的回想 その2

「あんた、なんだか色々してるみたいじゃない?」ポンは腹を擦りながら開いた扉の前でそう言った。 「何がですか、ポンさん?」羊は、日曜日の昼間に突然現れたポンに驚きながらそう訊くと、仕方なく中に招き入れた。「まあ、入ってくださいよ、立ち話もなん…