2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ボクが空腹だった間

食べ続けてもう3日になる。 扉を叩く人があって玄関まで行くと、ピザ屋の出前だった。 「鈴木さん、これで何枚目ですか?」 「7枚目かな。悪いね、何度も」 スクーターは走り去り、ボクは温かいピザの入った箱を床に置くと猛然と食べ始める。

彼と散歩中

「人間というものは、おぎゃあ、と産まれたその瞬間から、生死病苦、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦などの四苦八苦を背負って産まれてきたのであり・・・」 さいきん彼が町田康に嵌っていているらしく、うざい。 今も隣で上みたいなことを言ってく…

情熱の薔薇

ひさしぶりにこの曲を聴いて、なんだかちょっと癒された。 ブルーハーツって「ガキ的反抗心」の表れみたいな偏見を持たれている方も いらっしゃると思うのだけど、尾崎豊とはちょっと違う意味での、青さがあるんですよ。 若さというか、ね。 ボーカルのヒロ…

介護入門 ~モブ・ノリオ~

春秋の全掲載をチラ見して、読みにくさにうんざりしてしまい けっきょくまだ読了していない。 読みにくいってのは致命傷だね。 構成ってのを少し考えないとイケないね、作家たらんとする者は。 ってこれは春秋側の都合なわけで、モビーのせいではないね。 ネ…

a Chinese

黄は在日6年目の日本に帰化した中国人だ。出身は上海である。 「昨日さ、自殺しようとしたときのこと、思い出したよ」 私は黄の言葉を聞いて、わかったという風に頷く。左隣に料理長がいるのだ。無駄話をしていると分かったら、料理長は私を怒鳴りつけるだろ…

answer

白く濁っている視界にうっすらと見えるのは時計の文字盤のようだ。 世界と彼女が交わったのは、どうやら9時30分あたり。 そしてそれは、彼女が年明けの初出勤日に遅刻していることを意味していた。 女は健康グッズを売るベンチャー企業の総務部で働いてい…

my sweet memory

川面を泳いでいた鴨の足ひれに注目してみたが、何も分からなかった。 ベンチに腰掛けると薫風が柳の葉を揺らした。デジタルカメラを構えてシャッターに手をかけたときには、風が収まっている。 タバコに火を点けると空に向けて煙を吐いた。一瞬だけ風を感じ…

☆010

電話が鳴った。エイミーからだった。 「もしもし」と彼女は英語で言った。hello helloと、oasisの真似をして、言ったのだ! ちょうどそのとき俺はインターネットで宝くじの当選番号を検索しながら、コーヒーを飲んでいるところだった。普段なら酒を飲んでい…