始まりと終わり

 さいきん目が覚めると朝の6時である。たいてい閉め忘れたカーテンから差しこむ光でまぶたが開く。
 昼夜逆転だった生活も是正されつつあるみたいだ。
 
 ちょっと。
 ほんとうに、ちょっと前まで。
 ボクは暗闇の中で目覚めていた。暗黒の日々というやつ。そんな時間に起きると、もちろん、ろくなことはない。
 そんな日も、終わる。雨が降り止むみたいに、終わる。

 何かの終わりは、何かの始まりである。雨が降り止み、晴れは始まる。
それは「晴れでない状況」の終わりで、「雨でない状態」の始まりという側面も持つ。

 だから、ボクは、この早起きしている状況を、手放しでは喜べない。これは失う前の、始まりなんだ。すぐにそんな風に考えてしまう。きっと近々、友人に子供ができるからだと思う。

 友人は、女だ。つまり近いうちにその友人は、母親の称号を得るのである。皇室のキッズと誕生日が近いので、ボクはそれをきっと忘れ去ることができないだろう。

 忘れ去る必要はある。だから、そのためにボクは努力しなくてはならない。意外と、けっこう、本気でがんばらなくてはならない。

 そんな風にして時間が経ちしばらくすると、ボクはまた雨の日と再会することとなり、晴れは終わり、雨が始まり、「晴れでない状況」が始まり、「雨でない状態」は終わる。その繰り返しみたいだ。