2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

7月27日

もう幾つ寝ると8月、夏です。 梅雨があがりそうであがらない一両日、苦しかったですね。 暑いんだから、せめて晴れろ、と。 毎年毎年そーですが、この梅雨明け前後ってのは、本当にヤキモキしますよ。 洗濯物が腐ったような臭いを発する時と、ガン晴れでパリ…

★89

「中村さん」「ナカちゃん」「やっちゃん」「泰樹」「やっち」 誰しもそうだと思うけれど、オレにも上にあげたように幾つかの呼び名がある。 「中村さん」は他人行儀だけど、嫌いじゃないサウンド。 「ナカちゃん」は都会っぽいサウンド。中村という平凡な苗…

☆42101-3

オレと女の宴会はまだまだ続き、宴もたけなわ。 「わりぃ、待った」とゴツいパンクな格好をした、男が現れる。突然、後ろから。 オレはこの男をよく知っているが、実は何も知らない。相通じていることだけは確からしく、この男がとにかくオレに対しては絶対…

☆42101-2

「ちょっとここで待っててよ」友人はそう言うと階上へ消える。 ひとり残されたオレは薄暗い建物の中でもじもじしていた。 「あの~・・・」声を掛けられて後ろを振り返ると、ダッフルコートを頭まで被った女と、印象の薄い感じのそのツレの女がオレの顔を覗…

☆42101-1

オレは上海を友人と二人で歩いている。やたらと広い道幅で、ここは何路だろう、なんて思いながらも、迷子の子猫ちゃん的、寂しさはない。 しばらく歩くと前から泥酔した白人が3,4人現われて、理解できない言語で何かを言うとオレ達を指差して笑い声を上げた…

芥川賞だ。

物心ついた時からずいぶんいろいろと眺めてきたけれど、 やっぱり芥川賞って不思議ですね。 『介護なんちゃら』が受賞したと思えば『沖で・・・』が得る(古い話です)。 審査員に石原慎太郎氏がいるのが賞の基準の唯一の救いですが・・・。 ポップにいくか…

機能的なもの

例えば雨の日の傘みたいな、そんな機能的な文章を書こうと日々努めている。 例えばどんな文章が―――雨の日の傘のように―――機能的なのだろうか。 落ち込んでいる人を励ます文章や、勇み足の人をたしなめるような、そんな文章が 機能的なのだろうか。 ボクは違…

★4130

「支配人、ちょっとお耳に入れたいことが・・・」 仲居の一人、鴨安のり子がもじもじしている、昼時。オレは宿のここ5年の収支表を睨んでいるところだった。「うん、鴨安さん、どうしました?」帳簿から目を上げて鴨安を見ると三白眼はこれでもかというほど…

★987

オレが採用したのは『生き残りゲーム方式』のリストラだった。 毎週一回、その週のbest man/womanとworst man/womanを決めさせた。 選出後にベストに選ばれた人間とワーストに選ばれた人間で議論をさせ、新しいマニュアルをどんどんと作っていった。 ベスト…

☆875

「いらっしゃいませ!ようこそホテルタータンチェックへ」滑舌よくオレは客をもてなす。 カウチの何たるか、そしてカウチの救済について論じると共に、エイミーとの色事をつまびらかに語ることがえぶりでー★さんでーのミッションと先に書いたが、オレの本業…

☆715

「いないのか?」オレは鉄製の扉の前で、言った。けっこう、大きな声で。 返事はなく、もう一度インターホンを押して、ドアを二度たたいて見る。結果は同じだ。 ポケットから先日エイミーがくれた合鍵を取り出し、鍵穴に指す。上下を何度か入れ替えると、ズ…

7月15日

無職になってから3ヶ月が経過しようとしている。 まったく難儀なことである。 言い換えると、私はもうすぐ働かなくては、おまんまが食えなくなってしまう状態になる。 ああ、難儀。ということだ。難儀。 今更ながらに自問自答してしまうが、働く、とはいった…

☆789

『ホテル タータン・チェック』は、部屋数16部屋の中規模ホテルで、20人からなる古参の従業員が働いていた。 「ナカちゃん、1月にさ、でっかい資本入れて全面改装するから。それまでに人員削減と経営方針なんかの叩き台を作っておいてよ」ナカちゃんとはオレ…

黄金時代の小唄

いつもエンジェルぶったある声が ――おれのことを、―― 手厳しくお説教。 いちいち小うるさい あれやこれやの詰問も、 つまる所はpissed + fuss = pee。 楽しすぎる、らくすぎる おお、この感じで行きましょう、 お前んチ、93ぼうぼう! すると、あの声も歌い…

★96

この話はカウチポテツの何たるかを語るともに、どうしてあんな素晴らしい女、エイミーと俺が別れるはめになったのかを検証したい。 最初に断っておくと、俺は決して悲観主義者ではない。 むしろたいていのカウチポテツは(多少の)悲観的傾向がある、根っか…

★1209

ヒロユキが急性白血病に罹っていると知ったときエミリーは日本語で掛け算九九ができるようになっていた。 「ににんがし、にさんがろく、によ・・しが・・・」 「ふふふ、はち」 こんな感じで死んだそうだったが、前後の詳細は長すぎるので省略する。要するに…

★610

ジュネーブで修士課程をおえ、ケベックに帰国したエミリーは大手の信託銀行に勤めはじめた。 三期連続でインターンを引きうけた甲斐もあって、まわりは知った人間ばかりで、仕事に不満はなかった。給与や待遇でもまったく文句をいえる状況ではなかったが、エ…

★ 1130

彼女はバーに居心地悪そうに腰かけ、氷がほとんど溶けてしまったマウンテン・デューのグラスの底をストローでかきまわしていた。 「昨日はどこにいたのよ?」 俺が隣に座ると、彼女は発作みたいに訊いてきた。 「ずいぶん、古い話だね。思い出せないな」 「…

★ 200662

まず最初に俺が着手したのは、女探しだった。 これは冗談ではない。 カウチ的マインドを自己から普遍へ敷衍する過程で最初に出会うのは、異性である。 『衣食足りて礼節を知る』とあるが、礼節を知るとは、いわんや、不道徳を知るということでもあるのだ 。…

★ 20066

有紀はアホみたいな額に増えた資産の一部で、伊豆のひなびたホテルを買い取った。 一部、といってもアセット・メネジメント会社が提示した金額は有紀が儲けた額の端数に過ぎなかったらしいから、せいぜい1,2億というところだろう。 伊豆半島の斜面を背にした…

★777

林、という25歳の男から電話があったのは、そんな風にして、居酒屋のオヤジに一杯奢ってもらい、女と別れてから、三日後のことだった。 非通知で掛かってきたのだけど、俺はそんなこと気にせずいつものように「お電話ありがとうございます。ブルーパロットで…

★99

暗がりのバーで俺、言われる。女に。 「私のこと嫌いになったの?」 な、わけねーじゃん、俺はカウチだぜ?俺に選択肢なんてねぇよ! と心の中で念じつつ 「嫌いの度合いにもよるけども、ほんのちょっとでもってんなら、答えは多分・・・」 残りの言葉はグラ…

☆33

「お客さん、いったい何だって、東京でカウチポテツなんてやってんだい?」 近所の居酒屋のオヤジが訊いて来た。 俺は言ってやったよ、東京の空気は体に良いって聞いてね、つまり健康の為さ。 「健康の為?空気って・・・、お客さん、そのどっちもカウチポテ…

逃げ出すのか、始まるのか。(東京)

あるいは人間は一生を掛けて自分という物語を完結させる自動機関であると言えるかもしれない。 もちろん、地球上のあらゆる動植物が、地球という巨大な物語の登場人物群に過ぎない。 そんな風に考えることだって可能だ。 そして自分という人間は、one of the…

★77

カウチポテツとは言っても、実際はただの暇人。 かなり抽象的なことを考えて、日々生活しているわけです。 例えば、親切ってなんだろうな?とか。 たとえ、それが『あっほだね、あいつ』と陰口叩かれている行為だとしても けっして止めない。 断固たる決意。…