2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

12話

「どんな人?」2007年春。 「天使みたいな人」 俺としんさんは緑の家の俺の部屋にいる。 しんさんはそこで俺に恋の話をしている。 俺もしんさんもどうしようもないクズだから、それはそれは仕事を変わった。 倉庫整理、インターネット回線の電話営業、出…

11話

パーティーが終わってから緑の家ではたくさんのことがあった。 大ちゃんの彼女の妊娠が発覚した。 真に彼女ができた。 操に彼氏ができた。 春ちゃんが激しいうつ病状態になった。 洋平が大学時代からの女と別れた。 しんさんも、説明した通り、一人になった…

猛暑

千代田区にある当工場の11時の気温は39度だった。首にまいたタオルが汗で2倍ほどの重みになっている。ためしに絞ってみると、冗談ではない、ばちゃばちゃと音をたてて床に黒いしみをつくった。 工場全体の空気は重々しく、人はもちろん、機械も物もスローモ…

10話

2005年11月18日 俺たち、というのは緑の家にすむメンバー全員は、下北沢にいた。 下北沢というのは緑の家があった練馬区からみれば、極地、彼岸、最の果て。しかしカラー的には、完全に同系ということになるので、会場につく頃には町のあちこちにいるアング…

9話

しんさんが金を借りにきた翌週から俺は新しい職場で働くことになった。給与はそれまでの3倍ほどになった。それまでが時給900円なんだからたいした金額ではないが、それにしたってそれまでの3倍というのは逆にその程度の収入の人間にショックを与えるに…