まず最初に俺が着手したのは、女探しだった。
これは冗談ではない。
カウチ的マインドを自己から普遍へ敷衍する過程で最初に出会うのは、異性である。
『衣食足りて礼節を知る』とあるが、礼節を知るとは、いわんや、不道徳を知るということでもあるのだ
。人生、まっこと、奥が深い。
【問】
21世紀少年<青年<28歳<中年
上記の内、最後から2番目の俺は何?
【答】
もちろん、食うに困って人殺しなんてしない。
しっかし、カウチたるもの女の一つも得よ、である。
「天才は自分の世界で充足できるもの」
小説家というのは、たまに真理を吐くから恐ろしい。
・・・・・話が飛んだが、俺はとにかく伊豆に赴任してすぐ、女を探した。
理由は、、、、わからない。ダーウィンの進化論が、ダーウィンに予期されたように崩壊された21世紀では、わからない。
異性を求める上で忘れてはいけないのが、その過程で礼節も知るところであり、ここを案外見落としている輩が多いことが、昨今の離婚率の圧倒的増加に繋がっているように思う。
蓋し、道徳を持つということは人生を素晴らしく真っ白にする方法の一つである。
それもこれもあって、さすがに女将の娘(21歳)は(ボギー的信条にも反するので)止めにして、代わりに毎週金曜日に車を飛ばして下田のとあるカレー・ハウスを目指すようになった。
そこは牛舎みたいな木製横長の純粋潔白なログハウスで、夜な夜な、若くて清輝あふれるミュージシャンがびっくりするようなハッピーなサウンドを奏でることのあるバーでもあった。街のへそというやつだ。
何度か通ううちにマスターと顔なじみになり、俺はエイミーと出会った。