☆875

「いらっしゃいませ!ようこそホテルタータンチェックへ」滑舌よくオレは客をもてなす。

カウチの何たるか、そしてカウチの救済について論じると共に、エイミーとの色事をつまびらかに語ることがえぶりでー★さんでーのミッションと先に書いたが、オレの本業は『ホテル タータンチェック』の経営再建。

正直、その詳細を語るのはたるいが、物語の骨子として書かざるをえない。
カウチというリアリティーの上にエイミーというファンタジーを乗せて、その上に『タータンチェック』を乗せて、出来上がり。
つまらない描写も多々あると思うし、不必要な件が散見され、読者離れが起こる危惧も考えたが、この物語は上記のサンドイッチ方式で描きたいと考えてのことだ。しばしお付き合い願えれば、と思う。



まずオレが着手したのはサービスの見直しだった。

古参の従業員の多くはいままで自分が与えられた仕事を単にこなしているだけだった。
オレが勤め始めてから二週間、とにかく目に付いたのは、従業員の堕落ぶりで、及第点を越えるものすらほとんどなく、オレは社会に212回目のため息をついた。

高度資本主義社会の弊害は、伊豆半島の先端にまで押し寄せていたのだ。堕落。

堕落しきった豚どもの尻を叩いたところで成果は見えている。

全体の仕事量と従業員の稼働率をチャチャッと調べ上げると、オレは大規模なリストラにかかった。