☆42101-3

オレと女の宴会はまだまだ続き、宴もたけなわ。
「わりぃ、待った」とゴツいパンクな格好をした、男が現れる。突然、後ろから。

オレはこの男をよく知っているが、実は何も知らない。相通じていることだけは確からしく、この男がとにかくオレに対しては絶対的に無害だと安心しきって、弛緩しきった顔でいる。酒は進む。

何人かの知った顔が集まるにつれて、オレはだんだん不安になってくる。

オレはこの人たちのことを何も知らないのだ。しかしオレはこの人たちの顔を覚えている。すべて、覚えている。

なぜだろう?不安と緊張は高まり、別の店に行こうぜ。オレ達は外へ出る。帰りに見ると、木棚に並んだフレッド・ペリーは全部、偽物に映った。

騒がしいバーの一角にオレ達は陣取り、大騒ぎをする。
オレ達は顔なんだ、オレ達はここの人間で、ここはオレ達のオレのオレの。
BGMのテクノが流れている店の轟音に負けないほど嬌声をあげて、自己主張している不完全な集まり。
何人かの強面がオレ達の周りで、気にいらねえな、あいつら、ってな視線を浴びせる。

オレはだんだんと強迫観念的被害妄想になってきて、席を立ち、店のバックルームに入った。一息いれようと煙草を取り出すと、バックルームの隅にやたらと指の太い女がいることに気が付く。
あんた指太いね、と言い掛けて、止めた。人を傷つけたくはないからだった。

そんな夢をみた。