俺は、箱崎海岸の海辺で親友のよっくんとこんな話をしている。
目の前には小ぶりなたき火がたかれている。あいつは冷たいの、俺はあったかいのをキメていたせいで会話はとことんかみ合わない。
「なあよっくん、子供のころの夢ってなんやった?」
「なんやろ、夢?夢ってあの、夢?将来の?まあそれはええやんか。プライバシーやで」
「それやとはなしが続かんやんか」
「はなしを続ける必要があると君が言ったから今日は野球選手か消防士」
「今日はってどういう。てか、なんやちゃんとあるやんけ。野球と消防って・・・。よっくん野球なんてやってたっけ?」
「俺のおじさん、警察官やねん。うちの裏庭の防犯ベルはあのおっちゃんがつけたんやで。あの日に俺は」
「消防士はどこにいっててん」
「ストライク!バッターアウト!」
こんなやりとりを数回した後、俺もよっくんもこれはきっと黙って月でもみてるのが正解だってことに気が付いて、煙草をふかしたり、酒を飲んだり、追い炊きしてみたりして。
夜の3時を過ぎたあたりから少し風がでてきて、そのころにはかなり激しく酩酊していては、これはやばいかな、バッド入っちゃうかな、とドキドキしていると炎の中にユウジの顔が浮かんできた。ユウジは、まっしろなキャンバスをみるような目で俺の顔を覗き込んでいた。