群れ。 王の頓死。 突然だった。
息子が跡を継ぐことになった。
最初の狩り。大失敗だった。
二度目も同じだった。
腹心の部下たちも表情を曇らせた。
ある晩、彼は群れを離れた。一人こっそりと。
うかつだった。
目が覚めたとき、彼は崖下に倒れていた。
頭がふらふらとする。
洞穴をみつけて駆け寄ると倒れるように眠った。
その晩夢をみた。
父が、王だった父が現れた。
「まずは自分の面倒をみられるようになるんだ。
後のことはそれから考えればよい」
ウサギ一匹を一人で捕えられないことに
気がついた。
身体を鍛え、気配の消し方を学び、敵から身を守る術を
覚えた。
時に食料を余らせることさえ出てきた。
父の死から5年が経っていた。
その朝、彼は木の下に蹲っていた。
小鳥たちが彼の脇に降り立ち、地面から虫を穿っていた。
余った鳥をものほしそうに眺めているメスが見えた
彼は鳥を放ると、その場を立ち去った。
それから・・・