ワタナベくんが直子の死を知ってから、落ちていくところ

なぜ、そんなことになっちまったのか。俺にも理解はできなかった。こうもあっさりと首吊り一つで、本をよんだり、映画に行ったり、胃が輝きだすくらい美味しいフランス料理を味わったりだとか、そうしたことができなくなってしまうだなんて。控え目に生えてる、柔らかくて親密で、とてつもなく美しい性器に口づけできなくなってしまうのだなんて。叢で静かに導いてくれた女子大二年生とは思えない巧みな□淫。

金のない僕でも、いつかは二人でホテルオークラあたりのスーベーニアールームに泊まって、ルールサービスで取ったヴーヴ・クリコなんかを飲みながら、つまりもっとちゃんとした形で君を女性としてアテンドしてみたかった。