コーヒーを入れる。
タバコに火をつける。
いすに座る。
パソコンを立ち上げる。
眼鏡を掛ける。
一口コーヒーを啜り、一口タバコを吸う。煙を吐く。
溜息を付く。
思い出を思う。
本を開く。活字を拾う。タバコを吸う。コーヒーを飲む。
ノック。ノック。
誰か来た。
扉を開ける。しかしそこには誰もいなかった。仕方なく、扉を閉める。またノック。
メールチェック、ミクシィチェック。誰からも連絡はない。
電話が鳴る。非通知。留守電は一杯。
コーヒーを飲む。タバコを消す。灰皿には吸殻が一杯だ。
砂糖を探す。コーヒーに入れる。箸で掻き回す。
コーヒーの匂いをかぐ。
お香を焚くことにする。金木犀。
頭を掻く。爪の間に垢がこびりつく。
爪の間は真っ黒だ。
風呂に入ろうかと逡巡するが、HPに気になる書き込みがあり、キーボードを叩く。
電話が鳴る。もちろん、取らない。
代わりにテレビを点ける。
笑い声、笑い声、嬌声。
電話の音は止む。
カーテンを開ける。窓も開ける。寒い空気。
雨、風、匂い。
時は巡る。夢も巡る。明日は来る。今日は去る。去り掛けている。去りつつある。
風が冷たい。窓を閉める。そして暖房を点ける。
相談したい、と思う。未来が見えないことを。明日は来るのかということを。
誰もいない。誰にも話せない。それを断定的に喜んでみる。
鏡の前に立つ。
喜び、悲しみ、笑い、泣き顔。どれもリアルじゃない。
泣き顔は、色々なことを喚起する。さりとて、何も生まれない。
思い出からは何も生まれないようだ。
時間は巡る。
またタバコに火をつける。煙を吐く。灰皿に灰が溜まる。吸殻も。
テレビの中では恋人たちがすれ違う。
いや、もうそれは恋人ですらない。他人。別個体。
記憶が擦り切れる音を立てている。ふとよみがえる光景。その光景を追ってみる。散り散りになりそうなところを、更に深追いしてみる。
淵が見える。
そこには、何かが蠢いている。
何か?
何か?
何か?
蠢きとざわめき。恐怖。映画。
時として、だけれども。
ので、ながら、のでながら。AS。
AS US
我々。
ので、ながら。
時として時として。
ふと、音楽に酔いしれる。ビル・エバンスに、酔いしれる。
冷蔵庫、手、炭酸水。サントリー。
グラスに琥珀色のアーリータイムスを注ぎ込む。そして炭酸水。
光にグラスを透かしてみる。
泡立ちやがって。
泡。
トイレに飛び散る、小便だ。
ワンアウト、ダブルプレー、チェンジ、何も残らない、何も。