超絶工場員になる

男子三日会わざれば刮目せよとかいうじゃない?
でもさ、工場員なんてやってると毎日判で押したように同じ時間に出勤して、いつもの仲間にいつもと同じ挨拶をして、いつものロッカーでいつもの制服に着替えて、いつもと同じラインに立ち、同じ部品が流れてくるのを、同じ工程でもって組み立てて、同じ下流ラインの人に渡して、同じ時間に休憩をとって、同じ銘柄の飲み物を買い、同じ時間に代わり映えのしない昼飯を食べて、同じ電車で同じ部屋に帰るのよ。それがつまり工場員の仕事で、日常ってわけ。いや、工場に限らずほとんどの仕事がそうだよね。



そんなんで三日経って、何かが変わるとお思いでしょうかな?

これね、びっくりするくらい何も変わらないのよ。髭や鼻毛だって三日程度ではそんなに伸びない。
それこそ、戦争なんてのがすぐ隣にあった時代ならいざ知らず、平和な現代でたかだか三日会わなかったからって、ねえ?

・・・・・・工場員はそんなことを考えていた。
大志を抱けよ、工場員は思った。

超工場員になったくらいでなんだ!超絶工場員になってみろよ。そうだろ?その後のことはそれから考えればいい。

工場員はさらなる高みの達してしまい、またぞろ増えた選択肢に悩むことを覚悟し、そこから昨年そうだったように、新しく立ち現れてくる景色が楽しみでわくわくドキドキして眠れない