勇気付けから突き放しへと、ブリット・ポップは変質した。
「とにかくオレたちは、一人なんだ」
完全な個人主義の到来。21世紀は「人間は個人」であって、何ものもそれを侵すことはできない。
孤独な考え方じゃないか。
ボクは、20代前半の時に、そんな風に思った。
しかしそんなボクの思いとは無関係に、音楽、映画、本だってそれこそ他人との関わりにつばを吐くように個人主義へと走っていった。
そう長くかからずに、新しい個人主義―― 個人の在り方、生き方を第一に認める主義 ―― はある矛盾を抱えることとなる。
「個人が誰かの自由を、心から侵したいと考えた場合、それを認めなくてはならない」という、個人の自由を尊重するあまりに生じた矛盾。
僕らがいま立っているのは、そんな世界だ。