今までの音楽、これからの音楽 5

1996年、ボクがイギリスに渡ったとき、人々はもちろん、エルビスになんか目もくれていなかった。

OASIS

このバンドについて今のところ語ることは、ない。

断っておくと、ボクはこのバンドを誰よりも愛したし、誰よりも憎んだ。だから決して悪い意味にはとらえてほしくない。
つまり、現実的な意味において、現在のところ「OASIS」について語る方法が見当たらない、ということだ。(いったいどんな風に書いたら18歳のボクと「OASIS」の出会いを、誰かに(例えば父や母に)きちんと伝えられるだろうか?そう考えると、夜も眠れなくなる。)

そう考えてみると、ボクの音楽史は「OASIS」を境にしてひとつの大きなターニングポイントをむかえたことになる。
音楽は語るものではなく、聴くものなのだ、と教えてくれたのが「OASIS」で、以降、ボクは完全に音楽について語ることを止めた。

しかしボクはいま、語ってみようと思う。これからの音楽について、松原真が目指すべき道について、ボクの持っているすべての知識と力を使って、語ってみようと思う。