今までの音楽、これからの音楽 3

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ボクの音楽体験は「レイ・チャールズ」から始まる。13歳の頃だ。

サントリーウイスキーのCMでレイがカヴァーした、英語版「いとしのエリー」を、(どういう訳か)いてもたってもいられないほど、欲しくなったのだ。
歌詞を忘れちまったんじゃないか、ってほどタメをつくるレイの歌い方、それよりもさらに遅れてやってくるピアノの旋律が、頭の中を一日中かけめぐって、文字通りボクは音を楽しんだ。

音楽に目覚めたボクは“ボクだけの音楽”を探すことにやっきになる。
ほかの誰がなんと言おうが、好きなもの、輝いているものを見つけようとした。
それを、とことん愛して、わずかな情報でも知ろうとするチカラ。
13歳のボクはそんなチカラに満ちあふれていた。

それほどの時間はかからずに、それは見つかる。
近所の高校生の部屋から夜な夜な聞こえてくる、ある音楽がボクの心を一瞬にしてとらえる。
The Blue heartsだ。

田舎臭い格好で、カメラに不適な笑みを投げかける4人組。初めて自分のこづかいで買ったシングル盤の「リンダリンダ」はボクを釘付けにした。

「終わらない歌」「チェイン・ギャング」「僕の右手」「青空」「ロクデナシ」「Train Train」・・・学校が終わり帰宅すると、ボクはヘッドフォンを頭にはめて、何百回となく日本語に翻訳されたパンクを流し続けた。

はからずも、13歳でパンク・ロックに目覚めたボクを次に待ち受けていたのは、もちろん、本家本元の「セックス・ピストルズ」だった。

しかし、話はここからややこしくなってくる。
ボクは友人の兄にすすめられて聞いた「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」も「アナーキーインザUK」に、なんの感動も衝撃も覚えることができなかったのだ。

友人の兄はそんなボクを見てとても不思議そうな顔をしていた。
「え?これわからないの?すごいバンドだったんだぜ、オレがお前くらいの年のころは、みんなこのバンドに狂っていたものだぜ」

期待はずれの反応をしたボクにがっかりした友人の兄は、それから一週間もしない内に別の音楽をもって家へやって来た。彼は20枚ほどのCDケースをボクに渡すとCDプレーヤーにその一枚を乗せた。

「ルワッパバ、ルバンバ、リンバンブー!」
とつぜん背中に太い針を刺されたみたいにボクは飛び上がった。

キングオブ ロックンロール、エルビス・プレスリー
14歳になったばかりボクは、それ以後、ロックのとりことなる。