the nineth story ~ みみず城~上

「みみず城」

難攻不落と誉れ高きみみず城・・・か。

西暦3448年――――――――――――――

黒い巨星の来襲に遭った地球は、文字通り、滅びた。
しかしまぁ、人間はしぶとく生き残っていた。総人口は、そりゃ減ったけど、そこそこ残っていた。そして「結構滅びたなぁ」なんて言いながら、意外とのんびりと廃墟となった街で生きていた。

来襲から数年して、ある噂が世界中でまことしやかに囁かれた。
地球には夢の楽園があるらしい、というもの。そこでは、透き通った水と、肥沃な大地があり、偉大なグルがいて、その地にたどり着いたものだけを、天国へ誘うという、折り紙つきで。

ラブ&ピースの金科玉条の下に、あるものはボートで、またあるものは泳いで、またあるものはウィンドサーフィンで、そのどこかを目指した。全員に共通する点は、皆がエコな手によってそこを目指したということである。

さて、幾年かが流れて、7人の男女がその土地らしき島へ到着、すぐさま、グルを探したんだけど、なかなか見つからないし、かといっていまさら帰るのもかったるいので、しばらく話し合った結果、そこで暮らすことにした。何ヶ月かして噂も途絶えたのか、最終的には7人が島に到着、生活を始める手はずとなった。それが西暦3448年で、内訳は男が5人に女が2人だった。

男5人は、まぁ、当然のことだけど、女2人を取り合った。皆、年の頃二十歳前後で、性欲旺盛だから仕方ないんだけど、と思ったら、男のうち2人はゲイだということが、数週間で解り、男3×女2って公式に変わったその戦いは、一組のカップルができて以来、男2対女1という泥試合にもつれ込んだ。

女の名はマイコで、男はそれぞれ、カトウとナガイという名だった。