第七話

沈んでいく。
そんな感慨に真は浸っていた。
目の前では茶色と白の残像が揺れている。
背骨を通じて鈍い信号が、揺れにあわせて、伝わってくる。
腋の下にたまった汗が一筋二の腕を伝ってシーツに滲んでは消えた。
漆喰の壁一面に赤いペンキを垂らしてある部屋で、陰気な作業は続いた。

「ねえ、それでどうなったの?」息を切らせて女が真に尋ねた。
「何もならんよ。別に」