2008-01-20 第七話 #小説 沈んでいく。 そんな感慨に真は浸っていた。 目の前では茶色と白の残像が揺れている。 背骨を通じて鈍い信号が、揺れにあわせて、伝わってくる。 腋の下にたまった汗が一筋二の腕を伝ってシーツに滲んでは消えた。 漆喰の壁一面に赤いペンキを垂らしてある部屋で、陰気な作業は続いた。 「ねえ、それでどうなったの?」息を切らせて女が真に尋ねた。 「何もならんよ。別に」