ある日のこと 4

君がいてくれてうれしい。サンキュー。
とにかくそれって、すげーサンキュー。

「この曲の歌詞って最悪だね」ボクはスパゲティーを茹でながら直子に言う。「とにかく、それって、何だよって感じだよ」ははは、聞いちゃいねぇ。

あの後直子は合鍵を使って扉を開けると、目にした光景を信じようとはせず
洋子に向かってブラジャー(Dカップ)やらキラキラした飾りが沢山ついた
ぴちぴちのミニスカートなどを放り渡すと、ボクの脇に座って硬く口付けをした。

悪いことにマスターがそこへ帰ってきて、洋子がマスターの新しい恋人で
彼女が今日のコンサートをすっぽかして逢いに行った人というのがボクだと
いうことが判明し、マスターも直子もボクを疑い始めて、二人は夜の道玄坂へと消えた。

次の朝、ボクが部屋に戻ると直子はすでに帰っていたらしく蒲団から
白くすべすべした足がはみ出ていてた。

ボクは蛇口をそっとひねると水をコップに満たして、それを飲み干した。
色々なことを考えたけれど、昨夜マスターと道玄坂で何をしてきたのかということや、パスタハウスの裸の女(洋子)との経緯、とにかく、まあ、いいや。ジーンズを下ろして蒲団のすそをまくると
そこにいたのは、裸の洋子だった。

そしてまたまた悪いことにそこへ泥酔したマスターと直子が入ってきて
場面はまたややこしいことになる。

「いやぁ、本当にどうなっているんだろうね、ははは」ボクはマスターと直子にコーヒーを用意し、いまさっき目が覚めた洋子に朝ごはんを作っている。オリーブオイルの匂いにガーリックの香ばしい音が混じって部屋の中はりとるイタリー。

直子がつけたテレビからは新ユニットのイケ面で構成された音楽隊が、ひどい音楽を鳴らしていた。きみがいてくれてうれしい、サンキュー♪