ある日のこと 3

その日、マスターはオアシスのコンサートに行くことになっていて
ボクは代わりに店番をしてあげていた(もちろん、料理は出さなかったが)。

直子の抜けた穴を補うために店長が張り出していた「求人」をどこかで
見つけてきたのが洋子だった。
19時を少し過ぎた頃に店に入ってくるなり洋子は上着を脱ぐと
ドアの鍵を閉めた。
「いら・・・・、え?」呆然とするボクを尻目に洋子は半裸に近い服を
その場にポンポンと景気よく脱ぎだし、下着一枚になっていた。

「私を雇ってください」洋子は思いつめた目でボクにむかって言った。
「いや、実は俺・・・」と事情を話そうとフローベルの「感情教育」を閉じて
立ち上がろうとするボクを片手で制すると洋子はパンツをゆっくりと下ろし始めた。

ボクは事情を話そうか話すまいか一瞬迷ったが、結局洋子の素晴らしい裸体の前に
貝にならざるを得なかった。とんだ役得、棚からボタモチ、ピザ屋の店先で全裸の女。

夢みたいだ、とボクが感動しているのもつかの間、ドアをガチャガチャとやる
音が聞こえた。「あれ~、なんで閉まってるの?」
直子の声だった。