♪ 俺たちはさ、平和と希望をくれって言ってるだけなんだ・・・
「甘いよ、ジョン。甘い」
もしジョン・レノンがボクの友達だったらワインを片手にそう言ったことだろうけど
もちろん生きていたとしてもボクと接点があるようには思えないので、
多分言わなかったと思う。
しかし村上春樹氏なら、あるいはウィスキーを片手に
ジョン・レノンに向かってそう言ったかもしれない。
War<戦争>が決して外的なものだけを指すのではないと
日本で最初に気が付いたのは村上春樹だった。
江戸時代の末期に坂本竜馬が生まれたように
戦国時代を終えた日本はゆっくり300年かけて
争いの場を差別というシステムの中に置き換えただけなのだ。
貧富の差が広まるくらいで、つまり別の差別構造を作ること程度で済んでいる現在の状況では見えにくいが村上氏の打ち鳴らす警鐘は確かにボクの心に響いている。
「気が付くと自分の中に争いを求めるようになる」
戦争を知らない世代について問われた時、村上氏はそう答えていた。
そして2006年。ボクは自分と必死に戦っている。
文字通りこれは戦争である。
いつ果てるともない銃撃戦でボクの心にある街は蜂の巣と化している。
そこいらには死体がごろごろと転がっていて、血なまぐさい雰囲気が
埃まみれの風に乗って吹きすさぶ。
ここは戦場だ。ボクは銃を手にとってヘルメットを被り、手榴弾を腰にぶら下げて
防弾チョッキを着込む。
迷彩服を着て、コンバットブーツの紐を固く締める。
目の前を閃光が通り過ぎる。
しりもちをついてから慌てて匍匐全身の格好を取る。
敵は2時の方角。
銃口を右に向けようとしたその時、目の前に手榴弾が現れる。
悪魔の心臓。
ゲームオーバー
War is over? No the game is over. Try again....again....again....
ゲームは続く。