ある女の話

女の話をします。

この人と出会ったのは確か2004年の12月。
ボクはその時都内の中華レストランに勤務していて彼女はボクの上司でした。
青山の系列店から移動になってきた30がらみの人で、仕事はお世辞にも出来るほうではなかったし、容姿だって十人並みの代物だったけれど、彼女とボクはなかなか上手くいっていた。
きっと同郷であったということが大きく作用していたのだろう。

と断りを入れるのは、飲食店というのは実に非情なまでの男性社会かつ能力社会なのであります。
男は仕事ができて当たり前(容姿もけっこう問われますが)。
女は容姿が良いか仕事ができないと上司だろうとなんだろうといじめられ、村八分になります。

だから、仕事ができない上に大して可愛くないとあれば、総すかんを喰らい、ほとんど誰も定時に出勤しなくなる、休み時間がいい加減になってフロアに人が足りなくなる=お客さんが怒る=責任を問われ更に人々がついてこなくなる、という悪循環を繰り返し、しまいに店は収集が付かないほど堕落し、閑古鳥が鳴く、人が離れる、ということになるのであります。

しばらくは部下と上司という関係であった我々だけどしばらくすると、おい、と呼ぶと「なぁ~に」と科を作ってくる主従関係が生まれていました。
しかしこれは飲食関係ではよく起こり勝ちな上記のような下克上的理由からではないのです。

それは、男女の関係になったからに他ありません。
今後飲食業に身を窶すことになるだろうかも知れない人たちに、一つ先達があらまほしきことをお伝えませお。

飲食店の性は著しく乱れております。
なぜだろうか?
詳しいことはわかりませんが、昼夜他人の食欲を満たす手伝いが業務ということと無関係ではなさそうですし、基本的に客の言いなりになることが絶対的に評価される為、奴隷根性を強く持った人間しか残れない、といったことも関係がありそうです。

とにかく支配されたがっている人間が集まっているわけであります、結論的に言うと。
しかもマゾ的傾向が非常に強い、これは特に女性に言える傾向かもしれません。
そして件の女性もその傾向を強く残している方でしたが、ことはそれほど簡単なことでなかったのであります。

次回 「ふとももに一筋の血液」でお逢いしましょう。