第八話 セックスフレンド

ちょっとわき道に逸れますが、
そんな訳でボクにはセックスフレンドが必須でした。
安心してセックスできる相手が、ボクの安定には欠かせなかったのです。

10年もの間、ボクには変わらないセックスフレンドがいるんです。
まるで年寄りみたいですね。10年間。―――――――長い月日です。

彼女とはちょっとした経緯があって、互いに離れられない仲になったのですが、
まさか10年も続くとは思いもしませんでした。今でも彼女とは月に一度位は逢っています。

自分でも彼女を手放せるかどうか自信がありません。

しかし恋愛感情というのは当の昔に消滅してしまって、今はもうお互いに精神安定剤みたいに
依存しあっている状態。
彼女は彼女の病気を抱えていて、お互いに傷をなめあっている状態。
しかしもちろんそのままでは二人ともダメになってしまうことは見えているわけで
どうしようもない温い袋小路から逃れられない状態。

こんな状態の三乗で、より心は病むのでした。

心の通い合わせられる女性と性的に自分を充足してくれる女性。

この不可分の領域を侵してくれるミラクルガールを求めて、彼女がある身にも関わらず
ボクは面倒くさいことに首を突っ込み、病状を悪化させるという悪循環をぐるぐるしています。

セックスフレンドを一時的に失うことがあり、その時は身体に重点をおいて女性を求め、手酷い失敗を二度三度繰り返し、今度は精神的な安定を得られそうな女性を選び(セックスを抜きにした状態で維持できそうな女性を選び)、やはり失敗し、今、再びまた身体に傾倒しつつあります。

心を通わせるだけでつなぎとめていられる女性。

これは得がたいものでした。しかしボクは一度確かにそれを手にしたのです。