第十六話

「それこそさ、バチバチで行っちゃえばいんじゃないかい」

「やっぱそう思う?」

「うん、それがいいと思うよ」

「でもそういうのって急になんかやるのも恥ずかしいやんか」

「そうか?別に恥ずかしくはないけど」

「私だけ特別なんかな?」

「いや、そんなこといってないよ」

「・・・でも特別視してる。むかつく」

「いや、むかつかれても困る。でも確かに君はちょっと変なところがある」

「え、例えばどこ?」

「そうねえ、まずは誰と比べてみてって話になるとも思うんだけど、三度三度食事を取って、毎日規則正しく寝起きしてるOLさんと比べて・・・」

「それ、もう、比べる対象間違ってるやん」

「そうね、君はOLじゃない」

「三度三度ごはんも食べるけど」

「ごはんも食べるし、規則正しく起きられるときは起きるし、派遣だけど真面目に仕事をしていた」

「なんで過去形なん?私今でも派遣で仕事してるよ」

「マジで?」

「うん」

「そのバッグとかは」

「自分で買った」

「わお。彼氏、いまかなり金持ってるよ」

「そやね」

「ひょっとしたら今が一番持ってる時期なのかもしれない」

「いまいちピンとこんな」

「そこ、いいところ。好き」

「・・・・・」

「いや、そういうエロい意味じゃなくて、人間として好き」

「いや、わかってるから」

「ならいんだけど」

「うん」